仮想敵(演奏の環境を考える その13)

少し前にこのブログを見た知人から「あれは書かないのか」という質問をいただいた。
恥の多い人生を送ってきた中でも、ちょっと人に見られたら恥ずかしい練習についてである。
 
恥ずかしいのでそんなに大々的に人に教える予定はなかったものの、あまり他の人はやったことがない練習かもしれないので、読んだ人が何かの参考になればと思い、ここでひっそり公開してみることにする。
 
最初に「仮想敵」というタイトルは誤解を生むかもしれないので書いておくと、敵というのはお客様のことではなく、人前で演奏する環境そのもののことである。
 
私は曲を作りたいという気持ちはあるが、自分の趣味にあった曲を作り家でひとりで演奏するのが一番楽しいというタイプである。人前で話すのも歌うのにも苦手意識がある。しかし人にそのことを話すと「たまには人前で演奏しないと上達しない」といわれるのがほとんどであり、それもそのとおりだと思うので、修行している。
 
そんな私がある発表会のため初めて人前で演奏することになったときに、どうしたら堂々と演奏できるか悩んで考案した練習法が仮想敵である。
仮想敵=人前で演奏する環境を再現した状態
とでもいうべきだろうか。画像を見たほうが早いと思う。
 
<初公開!現在の仮想敵システム>
 
私が座るところ
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お客様(こわい)
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お客様その2(こっちを見てくれない)
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お客様その3(かわいいし緊張しない)
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<解説>
1.マイク 
これはカラオケ用と思われる安いマイクで、どこにもつながっていない。見た目の威圧感を第一に考えて設置した。私はマイクの前で歌うのがすごく苦手でそれだけで萎縮するので、慣れるために導入した。今後はちゃんとしたマイクや簡易的なPAのシステムを入れたりすればさらに実践的な練習になりそうだが、自宅のため大きな音は出せないのが課題。あと、手元の威圧感対策にもう一台ギター用マイクの設置をするのも考えている。
 
2.お客様
椅子の周りを取り囲んでもらう。視線がある状態に慣れるためである。
ちゃんとした人型のものは、何年か前に日暮里の繊維街で500円くらいで買った。ウィッグのお手入れなどをする時に便利なので買ったが、あるときこのような使い方もあることに気づいた。夜中に目が合うと怖い。人型のはこれしかないので、あとはウィッグと帽子、譜面台などを組み合わせて人間らしい感じにしている。お面を使うのもいいかも。ぬいぐるみが鳥類ばかりなのは単なる趣味で、ぬいぐるみならひとつも怖くないし、こんなお客様ばかりならうれしくて笑顔になってしまいそうだが、視線を増やすためにご来場いただくことがある。
 
3椅子と足台
このブログで散々書いたとおり、ライブハウスによくある高さの椅子を再現している。足台は、最近持ち運びできる足台として導入したものをそのまま使用している。
 
人前で演奏する機会が近づくと、このような仮想敵システムを組んで、そこで練習することがある。忙しかったりするとやらないこともあるが、やったほうが心構えができて、本人は安心する。普段はこんなことしたくないので、このようなものは片付けて楽しんで練習している。少なくともマイクとお客様は置かない。スタジオに行って練習する人ならマイクを使っての練習くらいはやっているかもしれないが、私はスタジオに行ったことがなく、練習場所はほとんど自宅である。
 
たぶん他の人は自宅でここまではやらないと思うので恥ずかしい内容になってしまったが、以前に知人に話してしまったので、あとは1人に知られるのも数人に知られるのも同じだと思って書いた。
人前で演奏する環境に苦手意識があるということは、人よりもスタートラインが後ろにあるようなものである。しかも私は要領が悪いし、本当に挙動不審である。ここを通り越して「私を見て!」みたいな人になるには、どうしたらいいのか。でもそれもあまり行き過ぎるとどうかと思うし、難しいところである。この仮想敵システムよりもう少し見られても恥ずかしくなくて効果的な練習法については今後も模索していきたいと思う。