目覚まし

私はわりとどこでも眠れるほうで、夜行バスでも、健康ランドの雑魚寝でも大丈夫であり、眠れなくて困ったことがない。オカルト的な雰囲気の旅館とか、がけの上とか、不潔すぎるとか暑すぎるとかとにかく危機的な状況の場合だけはおそらく駄目だと思うけど、それ以外は平気である。
また、いくらでも眠れるので、睡眠時間が短いと不満だが、長すぎる分には困ったことがない。

こんな眠るために生まれてきたような私になぜか付いている意外な特技、それは体内目覚ましとでもいうようなもので、好きな時間に起きることができる。
寝る前に「○時におきるぞ!」と強く念じてから寝ると、あら不思議、目覚まし時計なしでも○時の少し前に勝手に目が覚めるのである。
普段朝起きる時間だから、習慣的に目が覚めるのだということを疑われるれるかもしれないが、なんと、普段と違う任意の時間に変更することも可能である。
朝早いお出かけの予定などの時にはかなり便利!
というより、朝早いお出かけの予定が続いたとき、自分にこのような特技があることに偶然気づいたのである。

しかし、この特技には最大の問題点があり、寝る前にきちんと次に起きる予定の時間のことを決めてから寝ないと利用することができない。
私は眠りの神にだけは相当愛されているらしく、ぼーっとしていて気が付くと眠りの世界に行ってしまうことがしばしばある。いわゆる寝落ちである。
特に用事がないと(あっても)、家にいると夜の8時とか9時位のかなり早い時間に寝てしまうことも多い。というより、その時間が一番眠い。
寝落ちする前には起きる予定のことを考えている余裕はもちろんなく、次は偶然目が覚めるか、目覚まし時計が鳴るまでぐっすりである。

そう、結局このような特技があっても目覚まし時計は保険のため必要なのである。
目覚まし時計といっても、私が使っているのは今の携帯の3台前に使っていた年代もののガラケーである。目覚ましのon/off、時間、音楽、スヌーズの有無などが曜日ごとに自在に設定できて操作も分かりやすく、他の機能はぱっとしなかったが目覚まし時計としてだけは他のものの追随を許さない神のような機種だった。今やバッテリーがへたっているので、常に電源につないで、目覚まし専用機として活躍している。寝落ちしても次の日に仕事がある場合、このように頼もしい目覚まし時計が私をやさしく起こしてくれるので安心である。
私はたくさん寝るわりには寝起きがよく朝型人間なので、二度寝の心配もほぼなく、目覚まし時計が一台でも特に問題はない。

だらだらと綴ってきたが、ほかの人にこの特技の話をしても、同じように好きな時間に勝手に目が覚めるようにできるという人にはまだ会ったことがない。たまにしか役に立たない特技とはいえ、これは自慢できるのではないかと思い書いたが、書いてみたらささやかな特技すぎて困っている。
眠れなくて困っている人にとっては、ものすごく安眠体質だという部分の方がよっぽど自慢かもしれない。